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2016年10月11日火曜日

岩手県紫波町「オガールプロジェクト」岡崎正信氏の講演会・現地視察の開催報告




7月28日NPO法人日本不動産カウンセラー協会(以下「JAREC」)主催で、岩手県紫波町「オガールプロジェクト」講演会&現地視察が、紫波町役場の会議室で開催されました。

紫波中央駅からオガールプラザを望む
当日は、25名ほどの不動産カウンセラー、不動産戦略アドバイザーと、紫波町役場の新人の方も一緒に参加されて、どこかアットホームな雰囲気で、プロジェクトの中心人物であるオガールベース(株)代表取締役/オガールプラザ(株)代表取締役の岡崎正信氏に講演いただきました。

岡崎正信氏


このプロジェクトは、いわゆるPPP、PFIの手法を採用し、塩漬けにしてあった土地を活用して、実際の集客、事業、土地価格上昇に成功している興味深いプロジェクトです。まず中心となる岡崎氏がかなりインパクトの強い方で、このくらいのリーダーシップがないと中々プロジェクトも進まないのだろうなと感じました。ただ、行政を含み周辺の方々がそれを許容し、一つの成功体験を共有している雰囲気に、施設や数字での好調さを超えて心に響いた気が致しました。

≪視察資料から抜粋≫

オガールプロジェクトとは、「紫波町中央駅前都市整備事業」のことを言う。

プロジェクト名「オガール」の由来
日本国内の広い地域で使われている言葉で、当地方での方言として使われている「成長する」ことを意味する「おがる」とフランス語で「駅」を意味する「Gare(ガール)」を組み合わせた造語である。
 紫波中央駅前地区を紫波の未来を創造する出発駅としていくことの決意と、このエリアを出発点として紫波町が持続的に成長していく願いが込められている。

オガールプロジェクトの概要
紫波町は、JR紫波中央駅(JR東日本になっての初の請願駅)西側一帯の町有地10.7haを中心とした都市整備を図るため、町民や民間企業の意見を反映させて、平成21年(2009)3月に「紫波町公民連携基本計画」を策定した。
この計画に基づき平成21年度から始まった紫波中央駅前都市整備事業を「オガールプロジェクト」と称している。
  計画面積;21.2ha(町有地10.7ha含む)
  事業期間;第1期・交付金対象平成21年4月~平成26年3月
  概算事業費;紫波町公共分59億1,000万円(庁舎整備31億円を含む)
          情報交流館約2,700㎡(オガールプラザ内)
          役場庁舎約7,000㎡
          道路L=2,329mW=6~12m
          公園A=3,740㎡
          下水道A=9.8haL=1,317m
  民間活用想定面積;町有地10.7haのうち約5.58ha
  整備概要;事業棟A(民間施設2,536.72㎡・整備年度未定)
          事業棟B(官民複合施設・24年6月20日グランドオープン)
                   事業棟C(役場庁舎・27年5月業務開始予定)
                   事業棟D(民間施設2,259.50㎡・整備年度未定)
                   岩手県フットボールセンター(24年4月30日に開場)
                   緑の大通り(オガール東西広場・24年度完成予定)

                   戸建宅地開発(25年度までに57戸の造成完了予定)



岡崎氏の講演で一番印象に残ったのは、まず、消費活動を目的としない訪問者を増やす→サービスの発生→集客力アップ→サービス力アップ→エリアに活気→土地価格上昇という街づくりのシナリオがしっかりしている点でした。
今までの地域活性化としては、いきなり商業施設を建てて、建てた後に集客に苦労し、維持管理が膨大で、行政の赤字を膨張させているだけという構図でしたが、それを全否定(そもそも氏は役人時代に旧来からの手法で箱もの行政をやっていた方だそうです)し、物中心の考え方から、人を中心に捉え、どうしたら人が集まる街づくりができるかを考えており、要は民間企業と同じで、継続して利益を出すにはどうしたらいいのかということを役所に啓蒙し、了承を取り付けた方なのです。

周囲の人口も増え始め、集客も良好で、この地域周辺の地価も上昇しているという、地方の小さい町の中にあって、画期的な街づくりを進めていらっしゃいます。まだまだこれからも、新たなる普遍的な集客を、食、福祉、教育、エネルギー等をキーワードに追求されていくとのことです。

オガールプラザ

オガールベース

バレーボール専用体育館


















私は所用があって日帰りで行ったので、ちょっと慌ただしかったですが、大変刺激を受けて帰ってきました。

なお、海外でも小さな村で凄い集客力のある町があるそうで、スペインのサンセバスチャンという町は、一人当たりの星(ミシュラン)の数が世界一という町らしいですが、これは地方の町の一つの方向性を示すヒントになるなと感じました。

                                   広報委員会副委員長 小川哲也